奈良生駒の女性行政書士 「すみれ行政書士法務事務所」の野村早香です。
ブログをご覧いただきありがとうございます。
いままで幾度となく議論されてきた「配偶者控除の廃止」、
今の安倍政権でも、廃止について議論されているようですね。
配偶者の収入が103万円以下(所得が0円以下)であれば、
配偶者の相手方が所得税や住民税を計算するときに、
課税対象所得から38万円を差し引くことができる制度です。
そのため、「扶養範囲内で働きたい」という理由で、
あえて、所得を押さえるような働き方を選択するかたもいらっしゃいます。
いま議論されているのは、配偶者制度の廃止と、それにかわり夫婦控除という、
夫婦であれば控除できる制度を案として検討されているようです。
もし、これが実際に決定されれば・・・どんな影響があるでしょうか。
(1)社会保険の扶養は?
扶養には、上記のような所得税の計算上の扶養という考え方と、
社会保険(健康保険・国民年金3号)の扶養という考え方があります。
社会保険の扶養に入るには、年間の収入が130万円未満という要があります。
これは所得税の扶養と違って、年間の収入を考える起算日が現時点になります。
(所得税の扶養は1/1~12/31の所得で判断されます。)
考えかたが、それぞれ別々なので、
103万円の所得税の扶養控除がなくなったとしても、
社会保険の扶養はいますぐになくなるようなことではないかなと思っております。
(特に社会保険の扶養がなくなったときの、金銭的負担は大きいので、
なかなか踏み込むことは難しいと思っております・・)
とはいえ、国側は、いま扶養に入っているかたに、健康保険に入ってもらい、年金を支払ってもらいたいと、
思っているでしょうから、もし所得税の配偶者控除がなくなると、
社会保険にもいつか影響がでるかもしれませんね。
(2)家族手当・扶養手当は?
お勤めの会社によっては、扶養にいれた家族の人数によって、
家族手当や扶養手当なるものを支給しているところがあります。
就業規則・給与規定などで定められていると思いますが、
その支給要件として、所得税法上の扶養としているところも多々ありますので、
もし所得税法上の扶養という考えそのものがなくなると、
会社さんは規則変更や支給要件の検討などでバタバタされるかもしれませんね・・。
(3)働く女性(男性)が増えるのか・・・
配偶者控除がなくなるならば、フルタイムとしてしっかり働こうと思うかたも、
増えるかと思います。
育児休業が浸透したとはいえ、出産を機に家庭に入る女性は、やはり多いです。
では、保育園問題は・・・。育児休業後の復帰についての企業の体制づくりは・・・。
男性の育児休業取得促進は・・・。
まだまだ課題は多いのではないでしょうか。
扶養についての問題は、今さらりと振り返っただけでも、
色々なところに影響のあることだとわかります。
これまでも、ずっと議論されてきて、廃止まではたどりつくことはなかったので、
今回の議論について、動向を注目したいと思います。
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