奈良県・生駒の行政書士事務所「すみれ行政書士法務事務所」の行政書士宇戸谷と申します。
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昨年11月、居宅介護支援事業者が保険者である市を相手取ったとある訴訟について、
事業者側の勝訴判決が言い渡されました。

その訴訟とは、市からの報酬返還請求に対して、事業者側に返還義務が無いことを確認する訴訟です。

その後市は控訴を取り下げたため、令和6年1月15日、事業者側の勝訴が確定しました。

介護・障害福祉業界において重要な判例となっておりますので、簡単にご紹介いたします。

【裁判の内容】

①居宅介護支援事業所の運営基準上、
事業者は「利用者は複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることができること等につき説明を行い、理解を得なければならない」とされている。

②事業者Aは重要事項説明書にこの旨を記載しておらず、
保険者であるB市がこれを基準違反として指摘、報酬返還を求めた。

③一方事業者Aは、類似の説明が記載されていること、
利用者に対しては個別に説明できていることから義務違反は犯しておらず、
報酬返還義務もない、と反論。

以上のような流れのもと、結果としては既述のとおり事業者の主張が認めら
れ、事業者の勝訴となりました。

この判決のどこが重要か、それは「説明責任の義務には文書交付の義務が伴
うのか」という点です。

今回の判決によって、必ずしも説明責任には文書交付の義務が伴うわけではないことが確定したことになります。
(もちろん実態として説明責任を果たす必要があることにご注意ください)